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慢性骨髄性白血病(CML)の情報サイト

慢性骨髄性白血病(CML)治療のために
チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を服用されている方へ

ご参加いただいた医師、患者さんでディスカッションを行いました。

患者さんのご紹介(CML歴順)

※ご年齢、CML歴は座談会開催時

TKI中止後、TFRを継続中

CML患者 田村さんのイラスト

田村さん
(70歳代男性、CML歴20年7ヵ月)

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2003年にCMLの診断を受け、TKIを10年以上服用。2014年よりTKIを中止する臨床試験に参加しており、現在まで9年間、TFRを維持している。

田村さんの過去の体験記はこちら

慢性骨髄性白血病発症から約9年(62歳)

CML患者 河田さんのイラスト

河田さん
(30歳代男性、CML歴18年)

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2005年に高熱のために倒れ、搬送先の病院でCMLの診断を受ける。TKIの服用を開始するが、副作用などにより通学が困難になり大学を中退。その後、TKIを中止する臨床試験に参加し、30歳手前で大学に再入学し、現在まで9年間、TFRを維持している。

河田さんの過去体験記はこちら

  1. 慢性骨髄性白血病発症から約10年(31歳)
  2. 慢性骨髄性白血病発症から約13年(30歳代)
CML患者 小林さんのイラスト

小林さん
(40歳代男性、CML歴11年6ヵ月)

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2012年にCMLの診断を受ける。TKIの服用を開始するが、副作用(皮膚症状)により別のTKIに変更して治療を継続。2023年6月から副作用のためにTKIを中止し、半年間TFRを維持している。

TFRを目指して治療中

CML患者 伊藤さんのイラスト

伊藤さん
(40歳代女性、CML歴4年10ヵ月)

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2019年にCMLの診断を受ける。TKIを3回休薬している。1回目は治療開始後約1ヵ月ほどで副作用が出たため2週間ほど休薬。その後、卵子の採卵のために2回休薬。TKIは2回変更し、現在3剤目。妊娠を希望しているため、できるだけ早くTKIの中止にチャレンジしたいが、現在、MR4.0MR4.5の間を行き来している状態である。

ディスカッション2
TKIを中止して感じたことを教えてください

日常生活の変化

髙橋先生
次に、TKIを中止して感じたことについて、お伺いしたいと思います。

河田さん
私は離脱症状は全くありませんでした。TKIを服用していた頃は副作用が強く、歩行中に足がつってしまって動けなくなることもありました。また肌の色素が抜けてしまい、下痢も毎日続いていました。TKIを中止した後は、肌の色が少しずつ戻ってきましたし、体重も日に日に増えていきました。体調面については良いことばかりでした。

髙橋先生
TKIを中止した後に、それまで服用していたTKIの副作用に気づいたとおっしゃる患者さんもいらっしゃいますが、いかがでしたか。

田村さん
TKIを中止した後、家族から「顔の形相が変わってきたね」と言われ、そのときにはじめて、服用時には目の周りにむくみがあったことに気づきました。

TKI中止後の症状について

髙橋先生
小林さんはTKIを中止されて半年くらいですが、離脱症状があるとのことですね。

小林さん
離脱症状なのか、それとも年齢相応に身体に異変が起こっているのかはわかりませんが、筋肉痛などの症状が辛く、TKIを中止することはなかなか大変なことなのだなと感じています。お薬を服用しなくなったので、周りの人たちには「完全に治癒した」と思われるのですが、離脱症状が出ると、かえってCMLが悪化したように受け取られてしまいます。

髙橋先生
お仕事や日常生活への支障は、TKIの服用中と比べていかがですか。

小林さん
私の場合、特に関節痛がひどく、長い時間の歩行が困難で、仕事を減らしている状況です。中止後5ヵ月が過ぎて歩行の困難は和らいできましたが、離脱症状については情報がまだ少なく、もしこのまま症状が続いたらどうしようといった不安も感じています。

離脱症状のお話ばかりをさせていただきましたが、実は、TKIを中止したことはとても良かったと思っています。なかでも、服薬から解放されたことで、生活の制限がなくなったことがいちばん大きなメリットです。

髙橋先生
先生方は離脱症状に対し、どのように対応されていますか。

近藤先生
全身の筋肉痛で辛い思いをされている患者さんにはステロイド薬や鎮痛剤などを用いながら、できるだけ社会的な活動レベルが落ちないように心がけています。

髙橋先生
私も離脱症状に対して対症療法を行った患者さんを経験しています。離脱症状については、田村さんや河田さんのように全く出ない方もいらっしゃいますが、臨床試験では20~30%の人に出ると言われています。

今後、TKIの中止をどのように行えば離脱症状を抑えられるのかなども研究が必要と考えています。

費用について

髙橋先生
TKIを中止してから最初の1年くらいは検査を頻繁に行わなくてはなりませんが、それについてはいかがでしたか。

小林さん
私は臨床試験外でTKIを中止しましたが、主治医の判断で、慎重な観察が必要で、中止から半年を過ぎても、当面は毎月検査を行うことにしています。検査費用がかかりますので、今のところ、経済的な恩恵はまだ感じられない状況です。

河田さん
私も通院費用については負担を感じました。また、検査費用も、特に通院間隔の短かった最初の1年間は負担に感じました。しかし、検査費用は安心を担保するために必要な経費と考えればよいですし、定期的に検査を受けるという約束のもとにTKIを中止しましたので、納得感もあります。

TKI中止後の不安

髙橋先生
そのほか、TKI中止後、あるいは中止を目指す上で不安な点がありましたら教えてください。

小林さん
私の場合、TKI中止に必要な条件(講演 TFR(無治療寛解)までの道のり 図2参照)のうち、DMRは2年程でTKIを中止しました。さらに長期のDMRで中止した方に比べて、再発するリスクが高いのではないかという不安があります。

田村さん
臨床試験のデータによると、再発はTKIを中止後半年以内が多いと聞きました。私は幸いTFRを維持できておりますが、維持できない方も半数ほどいらっしゃるので、今後もTFRを維持できるのかなという一抹の不安はあります。

伊藤さん
私もTKIの中止により、再発や急性転化が起こるのではないかという不安を抱いていましたが、DMRを長く維持した後にTKIを中止し、TFRを半年維持できればそのリスクは低いことや、もし再発しても再度TKIを服用することで再び数値が下がることが多いと聞き、不安は軽減されました。患者会などでそのような情報を得ることで、TFRについてのイメージがもてるようになりました。さらに勉強会やセミナーなどを通して、他の患者さんの経験を聞く機会があれば、自分が今どのような位置にいるのかがわかりますし、判断材料や治療の励みにもなるのではないかと考えています。