慢性骨髄性白血病(CML)治療においては、白血病細胞の数を限りなくゼロに近づけるために段階的な治療目標を掲げます。血液学的完全奏効(CHR)、細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)、分子遺伝学的大奏効(MMR)、そして4段階目にあたるMR4.5について、それぞれの基準などを解説したページです。
CML(慢性骨髄性白血病)治療目標について
CMLの治療目標は4段階のステップを設定して白血病細胞の数を限りなくゼロに近づけることを目指します。
- ステップ1「血液学的完全奏効」CHR
奏効とは、それぞれの検査において白血病細胞が検出されない、コントロールされた状態のことです。
最初に目指すステップ1は血液中の白血球数が1万/μL未満、血小板数が45万/μL未満になるなどの基準を満たした状態を言います。血液検査のレベルで症状が完全にコントロールされていると判断された状態です。
詳しくは「検査・薬・治療について」をご覧ください。
- ステップ2「細胞遺伝学的完全奏効」CCyR
骨髄の細胞20個を取り出して染色体分析して、フィラデルフィア染色体が一個も見つからない状態です。
ステップ2は、染色体検査のレベルで白血病細胞が完全にコントロールされていると判断された状態です。染色体検査は原則として骨髄を用いて行われますが、血液を用いた好中球FISHという検査でもおおむね代替可能とされています。
詳しくは「検査・薬・治療について」をご覧ください。
- ステップ3「分子遺伝学的大奏効」MMR
ステップ3は、「分子遺伝学的大奏効」でMMRと呼ばれます。MMRは血液検査でBCR::ABL1遺伝子の割合が0.1%以下に減少した状態を言います。ステップ3は、遺伝子検査によって白血病細胞がかなり減少して一定基準にコントロールされたと判断される状態であり、一つの治療目標と考えられています。
白血病細胞を限りなくゼロに近づけることを目指すので、厳密な検査で確認します。ステップ3はとても大事な治療目標で、治療開始から1年以内で達成すると、そのあとは移行期や急性期に病気が進行する可能性がとても低くなることがわかっています。
詳しくは「検査・薬・治療について」をご覧ください。
- ステップ4 MR
ステップ4は、分子遺伝学的効果の中でもMMRよりさらに白血病細胞が少ないMR4.5と呼ばれる状態です。血液検査でBCR::ABL1遺伝子の割合を検査し、一般的な患者さんの診断時のBCR::ABL1遺伝子量100%に対して、0.0032%以下に減少した状態を言います。
ステップ4では、遺伝子検査のレベルで病状がほぼコントロールされていると判断された状態です。ステップ3に比べると、ステップ4を達成した方のほうが治療効果の維持が期待できるといわれています。
ただし、ステップ4を達成しても自己判断で服用を中止することは大変危険です。ステップ4を達成しても、きちんと治療を継続することが大切です。
詳しくは「検査・薬・治療について」をご覧ください。