「血液のがん」のひとつ慢性骨髄性白血病(CML)の進行や治療の現状について動画で解説しています。慢性期・移行期・急性転化期(急性期)に骨髄の中で何が起こっているのか、分子標的治療薬がどのようにCMLの進行を抑えるのか、わかりやすく説明したページです。
CMLとは約10万人に1人の頻度で発症する「血液のがん」です。何らかの原因によりがん化した血液細胞、すなわち白血病細胞が骨髄の中で増殖していく病気です。
骨髄性白血病には急性のものと慢性のものとがあり、慢性の骨髄性白血病であるCMLの特徴は白血病細胞の増え方がゆっくりであることです。CMLでは、およそ5年から6年かけて白血病細胞が骨髄と血液の中でゆっくりと増え続け、この期間を「慢性期」と呼びます。
白血病細胞が増える仕組み
骨髄は未熟な細胞を、機能を持つ成熟した血液細胞へと育てる場所で、そこから成熟した血液細胞が血液中に送り出されます。
増殖する能力が高い白血病細胞が骨髄の中で増えて中が一杯になると、まだ血液の機能を持たない未熟な細胞でも血液中に押し出されてしまうということが起こります。また、CMLを発症してから何年か経つと、白血病細胞はさらに増殖する能力が高く薬が効きにくいものに悪性化します。この時期を「移行期」と呼んでいます。
移行期の期間はわずか6カ月から9カ月で、骨髄の中はさらに悪性化した白血病細胞で一杯になります。
骨髄がさらに悪性化した白血病細胞で一杯になった状態はCMLの末期であり、「急性期」と呼ばれます。移行期、急性期では、数カ月のうちに血液細胞の機能が失われて症状が急速に悪化します。
CML(慢性骨髄性白血病)治療の目標
CMLという病気は、ジェットコースターと似ています。慢性期にゆっくりと上へあがっていき移行期、急性期では速度を上げて降下していくイメージです。そのため、CMLの治療は可能な限り慢性期の早い段階で白血病細胞の増殖を抑えて、上へあがらないようにすることを目指します。
移行期、急性期でも治療の方法はありますが、加速したジェットコースターが止まりにくいのと同様に病気のコントロールは慢性期より難しくなります。
CML(慢性骨髄性白血病)の治療法の進歩
CMLの治療法は分子標的治療薬が登場したことで画期的に進歩しました。このお薬は、白血病細胞を増やす原因となっている分子を狙い撃ちして、そのはたらきを抑えることでCMLの進行を止めることができます。
分子標的治療薬の登場により、慢性期を維持しながら長く生きられる方が格段に増え、病気になる前と同様の生活を送られるようになりました。ただし、治療を継続することが非常に大切です。