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慢性骨髄性白血病(CML)の情報サイト

A

Amp-CML法(アンプ-シーエムエルほう)

末梢血液からBCR::ABL1遺伝子の量を測る検査方法の一つ。
BCR::ABL1遺伝子が治療によりどのくらい減っているかを確認したり、増加してきていないかを確認するために測る。
TMA(Transcription Mediated Amplification)という方法で遺伝子を複製し(増幅という)、「標準検体」と呼ばれる基準と比較する方法で、BCR::ABL1遺伝子の量を測る。
G-バンド法FISH法より詳しい(感度が高い)検査法である。(大野 裕樹先生)

ATP(エーティーピー)

「Adenosine Triphosphate」の略、「アデノシン三リン酸」と訳される。
ATPは、身体の中でエネルギーを作り出す時に使われる物質。BCR::ABL1蛋白にATPがくっつくことで、「白血病細胞を増やせ」という指令が出される。(高久 智生先生)

B

BCR::ABL1遺伝子(ビーシーアール-エーブルワンいでんし)

「BCR::ABL1蛋白」を作るための情報(設計図)が記録されている遺伝子。
CMLでは、BCR::ABL1遺伝子のはたらきによりBCR::ABL1蛋白が細胞の中で作られることで、白血病細胞が増えていく。(魚嶋 伸彦先生)

BCR::ABL1蛋白(ビーシーアール-エーブルワンたんぱく)

CMLを発症、進行させる白血病細胞をつくり、増やすはたらきを持つ蛋白。
CMLの治療に用いられる「分子標的治療薬」は、このBCR::ABL1蛋白のはたらきを抑えて白血病細胞が増えるのを止め、死滅させる作用がある。(魚嶋 伸彦先生)

C

CCyR(シーシーワイアール)

「Complete Cytogenetic Response」の略、「細胞遺伝学的完全奏効」のこと。

CHR(シーエイチアール)

「Complete Hematologic Response」の略、「血液学的完全奏効」のこと。

CK(CPK)(シーケー/シーピーケー)

CKはクレアチンキナーゼ(Creatine Kinase)、CPKはクレアチンホスフォキナーゼ(Creatine PhosphoKinase)の略。血液検査項目の一つ。
筋肉の中にある酵素で、激しい運動後や心筋梗塞など、筋肉が壊れた時に値が上がる。(竹迫 直樹先生)

CML(シーエムエル)

「Chronic Myelogenous Leukemia」の略、「慢性骨髄性白血病」のこと。

CMR(シーエムアール)

「Complete Molecular Response」の略、「分子遺伝学的完全奏効」のこと。

D

DNA(ディーエヌエー)

生体内のタンパク質を作る遺伝情報(遺伝子のこと)が記録されている物質のこと。DNAはアデニン(A)・グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4つの化合物が様々な順序で連なってできている。このA・G・C・Tの並び方により、どのようなタンパク質が作られるかが決まる。(山﨑 宏人先生)

DMR(ディーエムアール)

「Deep Molecular Response」の略。
MR4.0MR4.5MR5.0が、MMRより深い奏効状態として造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版補訂版で分類されている。(岡田 昌也先生)
TFRを目指す場合のDMRとは、造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版ではMR4.5よりも深い寛解を指します。

F

FISH法(フィッシュほう)

白血病細胞のフィラデルフィア染色体上にあるBCR::ABL1遺伝子に蛍光発色剤を結合させ、蛍光顕微鏡で直接見る検査。
BCR遺伝子に緑、ABL1遺伝子に赤の発色剤を結合させた場合、普通の細胞では両遺伝子が離れているため緑と赤が識別できるが、CMLの細胞では両遺伝子がくっついているため黄色に見える。この原理を利用して、骨髄液または末梢血の好中球を100個以上観察し、BCR::ABL1遺伝子を持つ好中球の割合を評価する。
BCR::ABL1遺伝子が治療によりどのくらい減っているかを確認したり、増加してきていないかを確認するために測る。
G-バンド法と比較して、迅速に検査を行うことができるのが利点。(川上 公宏先生)

G

GVHD(ジーブイエイチディー)

「Graft Versus Host Disease」の略、「移植片対宿主病」のこと。

G-バンド法(ジーバンドほう)

骨髄検査を行い、染色体をトリプシンギムザ染色という方法で染めて、できた縞模様の様子から、染色体に異常(染色体の一部が他の染色体と入れ替わっている、一部が欠けている、など)があるかどうかを肉眼で確認する検査方法。
フィラデルフィア染色体を持っている細胞が、治療によりどのくらい減っているかを確認したり、増加してきていないか、また、新たな染色体異常が加わっていないかを調べる。
FISH法と比較して日数がかかる半面、フィラデルフィア染色体以外の染色体異常も検出できるというメリットがある。(川上 公宏先生)

H

HLA型(エイチエルエーがた)

HLAは「Human Leukocyte Antigen」の略、「ヒト白血球型抗原」と訳される。造血幹細胞移植の実施において重要視される。
HLA抗原は6番染色体の上にある遺伝子群(DNA)によって決定される蛋白で、大きく分けるとA座、B座、C座、D領域(DR・DQ・DP)がある。
HLA型が一致するのは、兄弟姉妹間で4人に1人、非血縁者(他人)間では、数百から数万人分の1の確率である。 造血幹細胞移植では、HLA型の一致の割合が低いと成功率が低くなる傾向がある。(藤澤 信先生)

I

IS-PCR法(アイエス-ピーシーアールほう)

CML患者さんの血液や骨髄液からBCR::ABL1遺伝子を検出する検査方法(RT-PCR法)のひとつ。ISとは、International Scaleの略で、国際標準値のこと。つまり、以前のPCR法では、標準遺伝子などの違いにより、検査施設ごとで結果にバラツキがあったが、IS-PCR法では国際標準機関から換算係数が付与され、各検査施設でほぼ同じ測定結果が得られる。国際的にはこの検査結果を用いて分子遺伝学的効果を判定する。(猪口 孝一先生)

M

MCyR(エムシーワイアール)

「Major Cytogenetic Response」の略、「細胞遺伝学的大奏効」のこと。

MMR(エムエムアール)

「Major Molecular Response」の略、「分子遺伝学的大奏効」のこと。

mutation(ミューテーション)

点突然変異」のこと。

MR4.0(エムアール4.0)

CMLの治療効果を示す指標の一つで、長期間生存する確率を高めるための達成目標。分子遺伝学的奏効(MR:Molecular Response)の一つ。
IS-PCR法による検査で、BCR::ABL1遺伝子量が、一般的な患者さんの診断時のBCR::ABL1遺伝子量100%に対して、0.01%(4log)以下に減少したことを示す。(猪口 孝一先生)

MR4.5(エムアール4.5)

CMLの治療効果を示す指標の一つで、長期間生存する確率を高めるための達成目標。分子遺伝学的奏効(MR:Molecular Response)の一つ。
IS-PCR法による検査で、BCR::ABL1遺伝子量が、一般的な患者さんの診断時のBCR::ABL1遺伝子量100%に対して、 0.0032%(4.5log)以下に減少したことを示す。
このレベルは、従来のPCR法では検出感度以下とされていたが、ISーPCR法により、さらに少ない白血病細胞の検出が可能となった。(猪口 孝一先生)

MR5.0(エムアール5.0)

CMLの治療効果を示す指標の一つで、長期間生存する確率を高めるための達成目標。分子遺伝学的奏効(MR:Molecular Response)の一つ。
IS-PCR法による検査で、BCR::ABL1遺伝子量が、一般的な患者さんの診断時のBCR::ABL1遺伝子量100%に対して、 0.001%(5log)以下に減少したことを示す。
このレベルは、従来のPCR法では検出感度以下とされていたが、ISーPCR法により、さらに少ない白血病細胞の検出が可能となった。(猪口 孝一先生)

N

Nested PCR法(ネステッド ピーシーアールほう)

CML患者さんの血液や骨髄液からBCR::ABL1遺伝子を検出する検査方法のひとつ。
Nestedとは「入れ子」のことで、大きな箱や器の中に、それより一まわり小さくて同じ形のものを順々に入れていくこと。Nested PCR法は、一度遺伝子を増幅し、その増幅した遺伝子を用いて2回目により小さい大きさの遺伝子の増幅を行うという、入れ子状に増幅する検査方法である。検出感度が高いとされ、体内にわずかに存在するCML細胞を検出するために用いられる。ただし、検査結果は陽性と陰性のいずれかで表され、量を測ることはできない。
最近は遺伝子の量を測定できるRT-PCR法を用いることが増えてきている。(吉田 近思先生)

P

PCR法(ピーシーアールほう)

CML患者さんの血液や骨髄液からBCR::ABL1遺伝子を検出する検査方法のひとつ。
PCRとは合成酵素連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略で、細胞内の様々な種類の遺伝子から特定の遺伝子を増幅(増やすこと)する方法。
CMLにおいてはBCR::ABL1遺伝子を検出することにより、体内に存在する微量のCML細胞を確認するために用いられる検査である。(吉田 近思先生)

Ph染色体(ピーエイチせんしょくたい)

フィラデルフィア染色体」のこと。

Q

QOL(キューオーエル)

「Quality Of Life」の略、「生活の質」と訳される。
患者さんが日常生活を送る上での機能と能力を総合した満足感のこと。患者さんの身体的機能、心理的状態、社会的役割を遂行する能力などを総合した“状態”を意味する。(松永 卓也先生)

R

RT-PCR法(アールティー-ピーシーアールほう)

CML患者さんの血液からBCR::ABL1遺伝子を検出する検査方法のひとつ。
RTは「Reverse Transcription」の略。骨髄や血液中の細胞の遺伝子に蛍光色素で色をつけながら増幅(増やすこと)して、この蛍光の強さから遺伝子の量を測定する方法。CMLにおいてはBCR::ABL1遺伝子の量を測ることができるため、治療によって体内のCML細胞が減少しているか、あるいは増えているかなどを評価することができる。
国際的にはこの検査結果を用いて分子遺伝学的奏効を判定する。(吉田 近思先生)

T

TFR(ティーエフアール)

「Treatment-Free Remission」の略、「無治療寛解維持」のこと。

監修(五十音順)

石井 昭広先生(総合病院国保旭中央病院 血液内科)
石黒 卓朗先生(新潟県立がんセンター新潟病院 内科 血液・化学療法)
猪口 孝一先生(日本医科大学)
入山 規良先生(日本大学 血液・腫瘍内科)
魚嶋 伸彦先生(京都第二赤十字病院 血液内科)
大野 裕樹先生(北九州市立医療センター 血液内科)
岡田 昌也先生(関西医科大学総合医療センター 血液腫瘍内科)
川上 公宏先生(香川県立中央病院 がんゲノム医療センター)
小池 道明先生(順天堂大学医学部附属静岡病院 血液内科)
佐藤 勉先生(富山大学附属病院 血液内科)
進藤 基博先生(旭川医科大学 内科学講座 病態代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学分野)
高久 智生先生(順天堂大学医学部 内科学血液学講座)
竹迫 直樹先生(練馬光が丘病院 血液内科)
橋野 聡先生(北海道大学保健センター)
日髙 道弘先生(国立病院機構 熊本医療センター 血液内科)
藤澤 信先生(横浜市立大学附属市民総合医療センター 血液内科)
前田 嘉信先生(岡山大学病院 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)
松岡 広先生(神戸大学医学部附属病院 バイオリソースセンター)
松永 卓也先生(札幌北辰病院 血液内科)
水田 秀一先生(金沢医科大学 血液免疫内科学)
目黒 邦昭先生(国立病院機構仙台医療センター 血液内科)
山﨑 宏人先生(金沢大学附属病院 血液内科)
吉田 近思先生(独立行政法人国立病院機構 水戸医療センター 血液内科)