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慢性骨髄性白血病(CML)の情報サイト

監修:
松村 到先生
(近畿大学医学部 血液・膠原病内科)

慢性骨髄性白血病(CML)では、BCR::ABL1蛋白の働きによって、次々と新しい白血病細胞が作られます。BCR::ABL1蛋白に作用する分子標的治療薬を用いて、白血病細胞の増殖を抑えます。CMLの原因と治療法について解説したページです。

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CML(慢性骨髄性白血病)の原因は染色体の異常

白血病細胞が生まれるきっかけは、何らかの原因で正常な血液細胞にフィラデルフィア染色体が発生したものです。これが白血病細胞となります。
染色体というのは細胞の中にあるたくさんの遺伝子がまとまっているもののことです。フィラデルフィア染色体というのは、9番と22番の染色体が何らかの原因でくっついてしまったもので、CMLの原因となる染色体です。フィラデルフィア染色体は、放射線被ばくなどが原因となることは分かっています。
ただ、ほとんどの患者さんで、なぜフィラデルフィア染色体がなぜできるのかは分かっていません。染色体の異常は、血液細胞だけに起こったものなので遺伝しません。

異常な染色体からつくられたBCR::ABL1蛋白とは

白血病細胞を無限に産生するイメージ

フィラデルフィア染色体の上にはBCR::ABL1遺伝子という遺伝子があるのですが、ここからBCR::ABL1蛋白という蛋白がつくられます。このBCR::ABL1蛋白のはたらきによって、1つの白血病細胞から新しい白血病細胞が次々とつくられます。
白血病細胞の中でつくられたBCR::ABL1蛋白は、ポケットのようなものを持っています。このポケットにエネルギー物質がくっつくとBCR::ABL1蛋白にスイッチが入り活性化し、白血病のもとになる細胞の中で分裂して、「白血病細胞を増やせ」という指令を出します。
その指令を受けた白血病のもととなる細胞は、無限に白血病細胞を産生して増えていきます。このような仕組みで白血病細胞は増加していきます。増加した白血病細胞は時間がたつとさらに悪性化し、移行期、急性期に進行してしまいます。

分子標的治療薬のはたらき

分子標的治療薬のイメージ

現在、CML治療で最初に用いられる標準治療は、白血病細胞を増えるのを抑えることができる分子標的治療薬です。
BCR::ABL1蛋白のポケットにエネルギー物質がくっつくと、その結果として白血病細胞が増えます。
CML治療における分子標的治療薬の「分子」とは、BCR::ABL1蛋白のことです。このBCR::ABL1蛋白を標的として作用し、白血病細胞が増えるのを抑えるお薬です。