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結節性硬化症の情報サイト

監修:
鳥取大学名誉教授
大野耕策 先生

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)は、どんな病気ですか?

腎臓の血管筋脂肪腫(けっかんきんしぼうしゅ)は、略して腎AML(エーエムエル)と呼ばれる、おもに腎臓にできる腫瘍です。結節性硬化症とは関係なくこの病気だけを発病する患者さんもいます。
腫瘍ができてもすぐには症状があらわれず腎臓の機能にも影響が出ません。しかし、腫瘍が大きくなってくると、周囲を圧迫したり、腫瘍から出血することもあるので注意が必要です。

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)のイラスト

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)ができやすいのは何歳ごろですか?

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)は、10歳代半ばから35歳ごろに発症しやすく、女性に多くみられる病気です。10歳代で腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)が急に大きくなることがあります。成人の結節性硬化症の患者さんには、小さいものも含めれば多くの人に腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)がみつかります。

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)ができると、どんな症状がありますか?

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)が小さいときは、ほとんど症状が出ません。大きくなってくると「わき腹の痛み」「腰のあたりでこぶ状のものに触れる」「血尿が出る」「血圧が高い」などの症状が出てきます。検査を受けないと、病状が悪化して症状が出るまで気がつかないことが多いので、定期的に腎臓の検査を受けることが大切です。ほとんどの腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)は、画像検査(超音波検査;エコー、CT、MRIなど)で見つけることができます。検査時に痛みはありません。

どのような検査を受けるのですか?

腎臓の超音波(エコー)検査で腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)の大きさを調べたり、尿検査や血液検査で腎臓のはたらきに異常がないかを調べます。 腫瘍ができる前から定期的に腎臓の検査を受けることが大切です。 より詳しい検査が必要なときは、腎臓を見ることができるCTやMRI検査という検査がおこなわれます。

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)には、どんな治療をおこなうのですか?

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)は自然に小さくなることはありません。 腫瘍が大きくなってくると、腫瘍から出血をおこし、患者さんの命にかかわったり、腎臓がはたらかなくなる危険性が出てくるため、治療が必要になります。
画像検査での腫瘍の大きさや、わき腹の痛みおよび尿に血がまじるなどの自覚症状、高血圧などの症状を組み合わせて治療をおこなうかどうかが決定されます。
腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)を取り除く手術、腫瘍に栄養を送っている血管をふさいで腫瘍を小さくする手術(動脈塞栓術;どうみゃくそくせんじゅつ)などがおこなわれる場合もあります。飲み薬で腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)を小さくするという選択肢もあります。

どの治療法を選択するかは、それぞれの治療法の特徴を知って、主治医とよく相談して決めましょう。

腎臓の血管筋脂肪腫(腎AML)に対する治療

治療法 メリット デメリット
腎部分切除術(腎摘除術)
(じんぶぶんせつじょじゅつ)(じんてきじょじゅつ)
腎AMLを取り除くことができます 開腹手術になるので術後の回復に時間がかかります
腎臓のはたらきが低下するおそれがあります
動脈塞栓術
(どうみゃくそくせんじゅつ)
腎部分切除術よりも体への負担が少なく、早い回復が期待できます 痛みや発熱などが出るおそれがあります
感染症のおそれがあります
mTOR(エムトール)阻害薬 腎AMLをある程度小さくすることができます
飲み薬なので、生活への負担が少ない治療です
副作用(口内炎、感染症、息切れや呼吸困難など)が出るおそれがあります
このお薬の成分に対して過敏症を起こした方、妊娠している方や妊娠の可能性のある方には用いることはできません