輸血療法
病気の根本的な治療ではなく、症状を改善するために、輸血療法が行われます。
輸血療法は他人の「血液」を輸血するので一種の臓器移植とも考えられ、身体に大きな負担をかける可能性のある治療法です。このため、輸血は厳重な管理の下で行われます。
また輸血用の血液は、献血された血液を「日本赤十字社」で可能な限りの検査をした上で供給されていますが、感染など重篤な副作用はゼロではありません。
輸血療法のおおまかな手順
1 血液型の確認
患者さんの血液型を調べます。
輸血は厳重なチェック体制の下で行われます。
2 交差適合試験
輸血する血液と患者さんの血液を実際に混合し、異常が起こらないことを確認します(交差適合試験といいます)。
輸血する血液が適切に選ばれていないと、混ぜた血液に異常が生じます。
3 輸血
点滴のようにして輸血します。輸血開始後5分間、15分後および輸血終了時に副作用についてチェックします。
赤血球の輸血
貧血症状を改善するために、赤血球(赤血球濃厚液といいます)を輸血します。
赤血球を輸血する目安※
※患者さんの状況によって異なります
血小板の輸血
出血症状を改善するために血小板(濃厚血小板といいます)を輸血します。
血小板を輸血する目安※
※患者さんの状況によって異なります
輸血後鉄過剰症:赤血球の輸血で生じる副作用
赤血球をつくる原料である「鉄分」は、通常、体内の量がほぼ一定に保たれています。しかし頻回に赤血球を輸血すると、輸血によって体内に入った鉄分を体外へ出しきれず、次第に溜まってしまい、過剰な鉄分がさまざまな臓器に障害を与えます。この状態を「輸血後鉄過剰症」といいます。
輸血後鉄過剰症は肝臓や心臓などの働きを弱め、ときには直接生命に影響を与えるおそれがあります。このため、もとの血液疾患に対する治療とともに、過剰な鉄分を体外に出す必要があります。このような働きをするのが「鉄キレート剤」という薬です。輸血後鉄過剰症が起こった際には、この薬を使用することが勧められます。
サイトカイン療法:G-CSF
白血球減少に対して、白血球(特に好中球)を増やす治療です。
- 白血球が減少して感染症を起こした際に、一時的に白血球(特に好中球)を増やして感染症を改善する治療です。