思いを伝えるのは難しいもの
患者さんは不安な気持ちを話したり相談したりしたいと思ったとき、パートナーなどの身近な人を選ぶ傾向にありますが、一方で家族には話せないことを理解してくれる友人・知人の存在も不可欠なようです。誰かに話したいと思う反面、深い悩みになると、なかなか言えないこともあるようです。無理に患者さんの思いを聞きだそうとする必要はありません。もし、患者さんからすべてを話してもらえなかったとしても、あなたが信頼されていない訳ではないのです。患者さんは、そのときの状況や心境で話す相手を選ぶことがあります。あなた以外にも心を開ける人がいるというのは、患者さんにとっても、あなたにとっても、負担が軽減されることだと考えればよいのではないでしょうか。
患者さんの話に耳を傾け、その思いを理解することは大切ですが、患者さんは、以前と変わらない“普通のコミュニケーション”も求めています。あなたが気を使いすぎたり、気持ちを抑え込みすぎたりすることは患者さんも望んでいません。
また、身近な存在でも、言葉の行き違いで患者さんとの間に誤解が生じることもあるでしょう。気を使いすぎて、ちゃんと考えが伝わらない事もあるかもしれません。時には感情的になり本質を見失うこともあるかもしれません。互いに理解し合うのは難しいものですが、長く治療を続けていく中で、患者さんとうまく思いが共有できるよう、コミュニケーションを大切にすることがあなたにとっても患者さんにとっても、必要不可欠なことなのです。
医療者との橋渡し役にも
患者さんを理解し寄り添うことで、その思いを共有できると、診察など医療者とのコミュニケーションにも役立ちます。
身近な存在であるあなたが患者さんの普段の生活の様子や普段話している思いを必要に応じて医療者に伝えることも、あなたにできることの1つです。診察に付き添って一緒に話を聞くだけで、あなたの心も落ち着くかもしれませんし、患者さんの負担が軽くなります。場合によっては、あなたが気付いた患者さんの自覚のない変化を医療者に伝えることが、治療に役立つこともあります。
あなたが診察に付き添うときにできること
事前に質問項目などをまとめましょう
患者さんの様子で気づいたこと、気になることなどを2~3点にしぼってまとめたメモを持参しましょう。
患者さんと一緒に話を聞くだけで意味があります
複数人で聞くことで、聞きのがしや、聞き間違いなどに気づくことができます。
患者さんに代わってメモをとりましょう
主治医からの説明などを記録する人がいれば、患者さんが話に集中できるでしょう。