まずは病状を正しく理解しましょう
告知のときは突然やってきます。「術後の経過も良好で治療も順調に進んでいると思っていた」「がんの診断と同時に転移がわかった」「病気が発見されたばかりで、まだそんなに悪くないと信じていた」・・・。そんなときの再発・転移の知らせは、患者さんはもちろんのこと、周囲で支える立場のあなたにとっても受け入れがたいことでしょう。
どうしてこんなことになってしまったのかと、原因を探したくなることもあるかもしませんが、どんなに適切な治療を行っても、発見が難しい小さながん細胞(微小転移)が残ってしまう場合があります。これが手術や放射線療法、薬物療法をくぐり抜け、時間をかけて大きくなると再発・転移として見つかるものなのです。がんの診断と同時に転移がわかった場合は“もっと早く気づいていれば…”と思うかもしれません。しかし、あなた自身のことや、患者さんを決して責めたりしないでください。再発・転移は誰のせいでもないのです。これからの治療や生活など、精神的な支えも含めて患者さんをサポートするためには、患者さんと共に病気のことを正しく理解していきましょう。
患者さんのショックに目を向けて
治療中やその後の経過観察中に発見される再発・転移では、患者さんが一人で告知を受けるケースが多いという現実があります。告知は一度経験すれば慣れるというものではありませんし、2度目の告知には、最初に受けたときとは異なるショックがあるものです。患者さんと一緒に告知を受けたり、患者さんから告知の事実を聞かされたりした場合、あなた自身も大きなショックを受けるのは当然のことです。告知を受けた当初は心の余裕がないかもしれません。何も手につかなくなったり、患者さんを元気づけることができなかったとしても、患者さんの気持ちに少し目を向けて心に寄り添えるように努力してみましょう。
再発・転移が疑われ、精密検査を受けた場合、結果を聞きに行くときには、あなたも患者さんに同行し、結果の説明を一緒に聞くことが理想的でしょう。それだけで、患者さんの力になります。まずは、病気のことを正しく知ることから始めてみてはいかがでしょうか?