病期(Stage)別治療
悪性軟部腫瘍の病期(Stage)により標準的な治療方針が異なります。
I期
転移する危険性は少なく、手術療法が基本となり、広範切除を行います。十分な切除が行えなかった場合には、再度手術を行うか、放射線療法を行うこともあります。
II期
手術療法が基本で、広範切除を行います。十分な切除が行えなかった場合、放射線療法を追加します。転移する危険性があり、転移を予防するために化学療法を行う場合があります。
III期
手術療法が基本で、広範切除を行います。十分な切除が行えなかった場合、放射線療法を追加します。転移する危険性が高く、転移を予防するために、手術の前後に補助的化学療法を追加することがあります。
IV期
原発巣に対しては広範切除が原則ですが、転移した病巣や患者さんの状態に応じて、化学療法や放射線療法などを併用します。転移巣が化学療法で制御できない場合、完治することは困難となるため、緩和治療を行いながらうまく病気と付き合っていくことになります。
再発・転移
悪性軟部腫瘍は血液の流れにのって転移(血行性転移)しやすく、多くは肺に転移します。その他には、皮膚やリンパ節、骨などに転移する可能性があります。通常、広範切除が行われた場合の再発率は10%未満です。
悪性軟部腫瘍の転移部位はほとんどが肺であるため、定期的に胸部CTを行います。
肺転移は、切除術が可能であれば手術が最も有効な治療法です。肺以外の転移巣も切除可能であれば手術が推奨されます。転移の数が多く手術が難しい場合には、化学療法で転移の数を少なくして手術する場合があります。また、放射線療法も有効な治療法です。
緩和医療
緩和医療(緩和ケア)は、治癒が困難な病期の苦痛に対して患者さんとその家族に行われるケアです。痛みや、精神面などのケアを行います。苦痛とは身体的、精神的苦痛だけでなく、社会的苦痛など様々です。患者さんやその家族の悩みに合わせた緩和医療を行います。