子宮肉腫の特徴
発症年齢は、子宮平滑筋肉腫と⼦宮内膜間質肉腫が50歳前後、癌肉腫はもう少し高齢で60歳以降といわれています[1]。症状として最も多いのは不正性器出血(月経以外や閉経後に性器から出血する)で、下腹部の痛みや違和感をともなうこともあります。
診断は、内診や細胞診、超音波検査やMRIによる画像検査などを行います。ただし、子宮肉腫は診断が困難なことが多く、子宮体部にできる良性の腫瘍の子宮筋腫と区別しにくい場合があります。
各疾患の概要
子宮平滑筋肉腫
子宮の筋肉にできる悪性軟部腫瘍で、子宮肉腫の中では多くみられるものの、子宮すべての悪性腫瘍に占める割合は1~2%程度とまれです[2]。手術前に診断を確定することが難しく、半数以上は子宮筋腫として手術を受け、組織を検査して初めて分かります。
子宮内膜間質肉腫
子宮内膜の間質細胞(結合組織である細胞)にできる悪性軟部腫瘍で、腫瘍の発生や組織の違いから「低異型度子宮内膜間質肉腫」(LGESS)、「高異型度子宮内膜間質肉腫」(HGESS)と「未分化子宮肉腫」(UUS)に分かれます。
いずれも、不正性器出血や過多月経、出血に伴う下腹部痛などの症状がみられます。
癌肉腫
癌の成分と肉腫の成分をもつ腫瘍で、子宮肉腫のなかで最も多くみられます。閉経後の高齢者に多く、平均年齢は60歳代です。不正性器出血が代表的な症状で、下腹部痛を伴うこともあります。子宮体癌と臨床的に似ている点があるものの、子宮体癌より悪性度が高い疾患です。
腺肉腫
子宮内膜の腺(分泌物を排出する器官)に発生する悪性軟部腫瘍で、発生頻度は癌肉腫の10%程度と、非常にまれです。発症年齢は癌肉腫よりも若いとされています。
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⽇本婦⼈科腫瘍学会(編). ⼦宮体がん治療ガイドライン 2018年版.金原出版 (2018)
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⽇本産科婦⼈科学会・⽇本病理学会(編).︓⼦宮体癌取扱い規約 病理編 第4版.金原出版 (2017)