病期分類は患者さんの予後を予測し、治療方針を決定するために重要です。悪性軟部腫瘍の病期分類にはTNM分類とSurgical Staging Systemがあります。
TNM分類[1]
腫瘍の大きさや深さ、所属リンパ節(周辺のリンパ節)への転移の有無、遠隔転移(他の臓器への転移)の有無、腫瘍の悪性度により病期を判定します。
原発腫瘍(T)
腫瘍の大きさが5cm以下の場合はT1、5cmより大きい場合はT2とします。
所属リンパ節(N)
所属リンパ節転移が判定できないときはNX、転移なしはN0、転移ありはN1とします。
遠隔転移(M)
遠隔転移なしはM0、遠隔転移ありはM1とします。
病理組織学的分化度(悪性度)分類(G)
生体組織診断で、悪性度の低いものと高いものに分けます。
- 低悪性度:腫瘍細胞が正常の細胞に似ているものや少し違いのあるもの
- 高悪性度:腫瘍細胞が正常の細胞と明らかな違いがあるもの
TNM分類
原発腫瘍(T) | TX | 原発腫瘍の評価ができない |
---|---|---|
原発腫瘍(T) | T0 | 原発腫瘍がない |
原発腫瘍(T) | T1 | 5cm以下の腫瘍 |
原発腫瘍(T) | T1 | T1a:腫瘍が浅いところに存在する |
原発腫瘍(T) | T1 | T1b:腫瘍が深いところに存在する |
原発腫瘍(T) | T2 | 5cmをこえる腫瘍 |
原発腫瘍(T) | T2 | T2a:腫瘍が浅いところに存在する |
原発腫瘍(T) | T2 | T2b:腫瘍が深いところに存在する |
所属リンパ節(N) | NX | 所属リンパ節の評価ができない |
所属リンパ節(N) | N0 | 所属リンパ節転移なし |
所属リンパ節(N) | N1 | 所属リンパ節転移あり |
遠隔転移(M) | M0 | 遠隔転移なし |
遠隔転移(M) | M1 | 遠隔転移あり |
病期(Stage)
4つの病期に分類されます。さらに腫瘍の大きさと深さを加えた6つに亜分類されます。
- 病期Ⅰ:低悪性度で、腫瘍の大きさが5cm以下か、5cmを超えるもの。所属リンパ節転移や遠隔転移はありません。
- 病期II:高悪性度で、腫瘍の大きさが5cm以下か、5cmを超え、表在性の(浅いところにある)もの。所属リンパ節転移や遠隔転移はありません。
- 病期III:高悪性度で、腫瘍の大きさが5cmを超え、深在性の(深いところにある)もの。所属リンパ節転移や遠隔転移はありません。
- 病期IV:所属リンパ節転移、遠隔転移があります。
Surgical Staging System[1]
Surgical Staging Systemは原発巣(最初にできた腫瘍の場所)の手術を行う際に役立つことを目的とした分類です。
組織学的悪性度
低悪性度(G1)または高悪性度(G2)のいずれかに分類されます。
腫瘍局在
腫瘍が区画内にあるかどうかによって分類します。区画とは、筋肉なら筋肉、骨なら骨の中に腫瘍が収まっているか、出ているかということで、これにより手術の適応を判断します。
遠隔転移
遠隔転移がある場合は組織の悪性度に関係なく病期IIIに分類されます。
病期(Stage)
以下の5つに分類されます。
- 病期IA:低悪性度の腫瘍が区画内にあるもの。遠隔転移はありません。
- 病期IB:低悪性度の腫瘍が区画外まで広がったもの。遠隔転移はありません。
- 病期IIA:高悪性度の腫瘍が区画内にあるもの。遠隔転移はありません。
- 病期IIB:高悪性度の腫瘍が区画外まで広がったもの。遠隔転移はありません。
- 病期III:遠隔転移があるもの。
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日本産科婦人科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会 (編): 子宮体癌取扱い規約 第3版. 金原出版 (2012)