自分の身体や治療のことを理解して、未来への新しい扉が開けた気がする。自分は1人ぼっちじゃない。できなくなったこと、失ったものを数えるより、いまからできることを大切にしよう。
“いま” できることから動いてみる
病気とうまくつきあっていくには、あなたから行動することが大切です。納得できる治療を受けるためにも、病気の知識を深めたり、正しい情報を得ることも必要になります。
さまざまな問題や心配ごとに直面したとき、頼れるのが「がん相談支援センター」です。がん相談支援センターは「がん診療連携拠点病院」にあり、その病院で治療を受けていなくても誰でも利用することができます。もちろん家族も利用できます。相談や情報提供など一切無料です。病院によって名称が違う場合もありますが、専門の研修を受けた相談員や生活全般の相談ができるソーシャルワーカー、がんに詳しい看護師などがいて、さまざまな情報や支援を求めることができます。ただその存在は、まだまだ知られていないようで、9割以上の患者さんが利用していないという現状です(下図)。いまは相談することがなくても、こういう場所があることを心に止めておいてください。
病院のほかにも、あなたの支えとなる場所はあります。同じ病気や症状など共通する体験を持つ人が集まり自主的に運営している「患者会」のほか、そういった人たちを支援する団体もあり、勉強会やイベントが開催されています。療養生活の工夫など情報交換をしたり、さまざまな体験談を聞くことで、あなたに役立つヒントを得る場として活用することもできるでしょう。
グラフ:「転移性乳がん患者 実態調査」より
(ノバルティス ファーマ株式会社 2014年6月実査)
潜在的なチカラを信じて
病気と向き合うこと、そして現実を受けとめることは、人が言うほど簡単ではないと感じるかもしれません。しかし、あなたには困難に直面しても“いま”を生きている力があります。いまできることは、たくさんあります。つらいときに支えてくれる家族やパートナー、親しい人たちもいます。治療だけでなく、さまざまなサポートをしてくれる医療者もいます。困ったときに頼れる制度もあります。あなたには思った以上の力が秘められているかもしれません。
さまざまなことをあきらめるのではなく、いまできることに目を向けて、また新しい一歩をふみだしてみませんか?