「まだそんなに悪くないと信じてたのに・・・」「治療が終わったばかりなのに!」「やっと長い定期検診から卒業できると思ってた」。再発って、転移って。これからどうなるのだろう。
再びの告知に動揺するのは当然です
再発・転移は、治療中やその後の経過観察の診察で告知される場合が多く、患者さんが一人で診断を聞く場合も多い現実があります。身体の不調を感じて、主治医の診察を受けた方もいるかもしれません。
ご家族が同席してくれていたとしても、大きなショックを受けるのは自然なことです。心を落ち着けて、頭の中を整理するには時間がかかるでしょう。それでもかつて、手術などの治療を乗り越えたように、これから先のことを考えていかなければなりません。そして、決してあなたを責めたりしないでください。再発・転移は、決してあなたのせいではありません。もちろん、ご家族や周囲の人たちも。誰かのせい、ではないのです。
あなたのカラダの中で起きていること
これから始まる治療や生活などを考えていくためには、最初に自分自身の身体の状態を知ることが大切です。「局所」「遠隔」「転移」「再発」など、さまざまな言葉があって混乱してしまう方もいるでしょう。再発と転移はどちらも、初発時と同じがん細胞による、という意味では同じものといえます。
温存した乳房や切除した後の皮膚や胸壁に現れた場合を「局所再発」、手術側のリンパ節に現れた場合は「領域リンパ節再発」と呼びます。また、離れた臓器に現れた場合は、「乳がんの○○(臓器名)転移」と呼ばれることもあります。再発タイプによって、これからの治療方法が変わってきますから、“どんな再発が起きているのか”“生活で注意すること”など、わからないことは主治医に確認しましょう。
術後しばらく経過が順調だった方には、再発・転移は、ある日突然できたように感じるかもしれませんが、治療が順調に進んでいるようにみえても、身体の中に発見することが難しい小さながん細胞(微小転移)が残されてしまう場合があります。手術のほか、放射線療法や薬物療法を駆使しても、それらをくぐり抜けてしまったがん細胞が少しずつ増え、時間をかけて大きくなってから発見されるのです。乳がんは、比較的早い段階でも微小転移の可能性があるといわれています。また、再発・転移が多くみられるのは、術後2~3年以内とされていますが、5年、10年以上というケースがないわけではありません。
いきなり転移の治療でも心配しすぎないで
がんの診断と同時に転移がわかった方もいるでしょう。そんな告知は不意打ちのようで、さまざまな思いが複雑にわき上がってくるのは当然です。“自覚症状がなかったのに”“しこりは大きくないのに”“どうしてこんなことになってしまったのか”。いくら考えてみても、過去を振り返っても現実は変わりません。“早く気づいていれば”と、自分を責めてしまうかもしれませんが、誰のせいでもありません。これから始まる治療のこと、“いま”できる最善の治療を主治医と一緒に考えてみましょう。いまから治療をスタートするのは誰もが同じです。