治療方法はさまざま
治療は薬を使う全身療法がメインとなりますが、再発した部位によって、放射線療法や手術療法などを組み合わせて行います。治療の目的は「症状緩和」「QOL（生活の質）の維持」「生存期間の延長」といわれています。とても消極的で、いきなり重篤な状態におちいったように感じるかもしれませんが、状況に合わせて長くあなたらしく過ごすための治療を継続していくことはとても重要なのです。これらの治療は、いま以上に病巣を大きくしないこと、また目に見えない微小転移を抑えておくことにもつながります。
治療に用いる薬の種類や使うタイミングは、がんのタイプや患者さんの希望など、さまざまな要素によって異なります。最近では、改めて生検を行う場合もあります。初期治療に比べると、再発・転移では、あなたの思いや気持ちをより考慮してもらえます。旅行などのプライベートな予定でも、それに合わせて治療スケジュールを変えることも可能です。
グラフ：「転移性乳がん患者 実態調査」より
（ノバルティス ファーマ株式会社 2014年6月実査）
再発の患者さんは、身体的な負担だけでなく、経済的な負担も感じる方が多い傾向にあります（右図）。中には経済的な理由で治療をあきらめる患者さんもいるようです。しかし、医療費の負担をサポートする制度がいくつかあります。
健康保険では、上限額を超えた金額が戻ってくる「高額療養費制度」があり、事前に健康保険に手続き（限度額適用認定証の交付申請）をしておけば、最初から上限額だけ支払えばよい制度もあります。また、あなたがお仕事をされていて、健康保険に加入（ただし国民健康保険を除く）されている場合には、療養のために会社を休んだ際の給与額の減少を補てんする「傷病手当金」という制度があります。
生命保険では死亡保険金の一部を生前に受け取れる「リビングニーズ特約」もありますし、病状が進行して日常生活に支障がある場合は「介護保険」や「障害年金」を申請することもできます。やむを得ない場合には「生活保護」を検討するのも1つの方法です。経済的な事情を理由に最良と思う治療方法を簡単にあきらめたりせず、何らかの手だてがあるかどうか、がん相談支援センターに相談してみることをおすすめします。
