なぜ病気が起こるの?
ITPの患者さんでは血小板の破壊が進み、さらに血小板の産生量も少なくなっています。
私たちのからだには、外から入る異物から自己を守るという機能(免疫といいます)が働いています。しかし、何らかの原因でこの免疫の働きに異常が生じると、免疫細胞が正常な組織まで「異物」とみなして攻撃するようになります。
ITPの患者さんでは、この免疫細胞が血小板を攻撃して壊すだけではなく、血小板をつくるトロンボポエチンという物質が不足し、血小板の産生量が低下していることがわかっています。また、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染することでITPを発症するという報告もあります。
ITPの症状は?
血小板には出血を止める働きがあります。
このため血小板が減ると出血しやすくなります。
皮膚の下で小さな血管が破れて起こる紫斑(しはん=あざのこと)や赤いそばかすのような点状出血のほか、鼻血、月経過多などがみられることもあります。特に血小板数が極めて少ない場合には重篤な出血( 脳内出血、消化管出血など)につながる可能性があり、注意が必要です。また、出血に対する不安から日常生活が制限されることがあります。
ITPには種類があるの?
ITPは病状の経過により、「急性型ITP」「慢性型ITP」に分けられます。
急性型ITPは、発症後6ヵ月以内に血小板数が正常化するタイプで、ウイルス感染などの後に突然発症することがあります。子供の患者さんの多くは急性型で、大半は6 ヵ月以内に自然に治ります。一方、成人に発症したITPの9割は、急性型から慢性型に移行しますので、長い間病気と付き合う必要があります。
急性型ITPと慢性型ITPの比較
急性型ITP | 慢性型ITP |
---|---|
発症から 6ヵ月以内に治癒 | 発症から 6ヵ月以上病状が継続 |
5歳以下に好発 | 中高年齢者に好発 |
5歳以下は男児が有意に多い | 20~40歳では男女比 1:4 |
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宮川義隆:臨床血液. 2013;54:350-356.
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藤村欣吾:日本内科学会雑誌. 2009;98:1619-1626.
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藤村欣吾:臨床血液. 2014;55:83-92.
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藤村欣吾:日本内科学会雑誌. 2009;98:1619-1626. より改変