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移植片対宿主病(GVHD)情報サイト

監修:
大阪公立大学 血液腫瘍制御学 教授
日野 雅之 先生

造血幹細胞移植のおおまかなスケジュール

造血幹細胞移植は3〜4ヵ月間入院して行います。

※日数はおおよその目安で、施設や患者さんの状態によって異なります。

スケジュールのイメージ

さまざまな合併症を上手にコントロールすることが移植成功の大きなカギです。

画像:合併症の種類とおおよその発現時期

骨髄移植のやりかた

どのように骨髄を採取するの?

ドナーは手術室で全身麻酔をした後、うつぶせになり骨髄を採取します。

イラスト:骨髄の採取
イラスト:腸骨

腰のあたりの、骨盤の後ろ側にある骨(腸骨)の中にある骨髄を採取します。腸骨のいろいろな部位から何十回か採取して十分量を確保します。

骨髄の採取には約1〜3時間かかります。

 
長所短所
  • 古くから行われており技術的に確立している。
  • ほぼ確実に造血幹細胞を採取することができる。

【ドナーにとって】

  • 自己血保存が必要。
  • 全身麻酔が必要。
  • 採取後の痛みなどの身体的負担がある。

骨髄の採取と移植のながれ

画像:骨髄の採取と移植のながれ

(イメージ図)

骨髄採取によるドナーの合併症

  • 全身麻酔薬の副作用
  • 発熱や吐き気
  • 喉や尿道(カテーテルを入れた場合)の痛み
  • 骨髄採取部位の痛みや腫れ
  • 出血
  • 感染症  など

いずれも採取終了後、数日で消失します。
※ごくまれですが、死亡例を含め過去に重篤な副作用・合併症があらわれたという報告もあります。

末梢血幹細胞移植のやりかた

どのように末梢血幹細胞を採取するの?

G-CSFという白血球を増やすくすりをドナーに投与すると、造血幹細胞が骨髄から血液中にあふれ出てきます。
静脈から血液を採血して造血幹細胞を採取し、残りの血液は身体に戻します。十分な造血幹細胞数が得られるまで、最長で3日間繰り返します。移植日と採取日が異なる場合は、いったん凍結保存します。

イメージ画像:末梢血幹細胞の採取

末梢血幹細胞の採取には1回あたり約2〜4時間かかります。

 
長所短所

【患者さんにとって】

  • 移植後、造血機能の回復が早い。

【ドナーにとって】

  • 自己血保存が不要。
  • 全身麻酔が不要。
  • 採取後の日常生活への回復が早い。

【患者さんにとって】

  • 移植後の慢性GVHDが増加。

【ドナーにとって】

  • G-CSFの長期的な安全性が十分には確立されていない。
  • 採取中の合併症(血圧低下など)や採取による血小板減少がある。

末梢血幹細胞採取のながれ

画像:末梢血幹細胞採取のながれ

末梢血幹細胞採取によるドナーの合併症

  • 血小板減少、白血球増加
  • 骨の痛み、倦怠感、頭痛(風邪に似た症状)
  • 血圧低下、不快感など(血管迷走神経反射)
  • しびれ(低カルシウム血症)  など

いずれも採取終了後、数日で消失します。
※ごくまれですが、海外では死亡例を含め過去に重篤な副作用・合併症(心筋梗塞、脾臓の腫れと破裂など)が現れたという報告もあります。また、G-CSFというくすりの長期的な安全性はまだわかっていません。

さい帯血移植のやりかた

どのようにさい帯血を採取するの?

胎盤から採取→さい帯血バンクに凍結保存→移植施設で移植

 

患者さんにとっての長所患者さんにとっての短所
  • 採取後凍結保存しているので、移植までの流れが簡便。
  • 他の移植法に比べて、HLAの不適合があっても重症なGVHDが起こりにくい。
  • 少量しか採取できないため、成人には不十分なことがある。
  • 生着不全が多い。
  • 移植後生着するのが遅いため、感染症の危険性が高い。

 

「造血幹細胞移植情報サービス」の詳細はホームページ(https://www.bs.jrc.or.jp/bmdc/)をご参照ください。