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移植片対宿主病(GVHD)情報サイト

監修:
大阪公立大学 血液腫瘍制御学 教授
日野 雅之 先生

GVHDとは 

GVHDとはgraft versus host diseaseの略で、同種造血幹細胞移植後に起こる合併症の1つです。
移植時に混入したドナーのリンパ球や移植した造血幹細胞から分化・成熟したリンパ球が、移植を受けた患者さんの身体を異物とみなし、攻撃することで起きる合併症です。
GVHDは移植後、多くの方にみられる合併症であり、いつでも起こる可能性があります。

GVHDの種類

GVHDは、それぞれ特徴的な症状によって急性と慢性に分けられます。
急性GVHDは、移植後早い時期に、皮疹などの皮膚症状が起こります。また、下痢などの消化器症状や、肝臓の働きが低下して黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などがみられます。
慢性GVHDは、全身の広範囲な臓器・部位で起こる可能性があり、さまざまな症状があらわれます。

 

種類

症状が起こる部位

急性GVHD

皮膚・消化器・肝臓

慢性GVHD

さまざまな臓器・部位

GVHDが起こる割合

GVHDは、同種造血幹細胞移植を受けた約半数の方に起こるといわれています[1]
国内の調査では、急性GVHDが100日までに36%、慢性GVHDが2年までに37%起こったという報告があります[2],[3]

GVHDは代表的な移植関連合併症の1つです

移植関連合併症の種類とよく起こる時期

移植後には、移植からの時期に応じてさまざまな移植関連合併症が起こる可能性があります。GVHDは、同種移植後の代表的な移植関連合併症の1つであり、移植後早期から2年までに発症しますが、2年以降に発症することもあります。

GVHDなどの移植関連合併症が疑われたら、早期に主治医に相談してください。

画像:合併症の種類とおおよその発現時期

GVHDと拒絶反応の違い

GVHDは移植した細胞が患者さんの身体を攻撃する反応です。一方、拒絶反応は患者さんの細胞がドナーから採取した移植片を攻撃する反応であり、GVHDとは逆方向の反応です。
拒絶反応が起こると生着できません。GVHDが起こると臓器が攻撃され、臓器障害が起こります。

イメージ画像:GVHDと拒絶反応の違い

GVHDはなぜ起こるのでしょうか?

GVHDは、ドナー由来のリンパ球が活性化され、炎症性サイトカインが放出され、移植を受けた患者さんの臓器や組織が攻撃されます。

GVHDはどんな人に起こりやすいのでしょうか?

  • 急性と慢性で共通してGVHDになりやすい方:ドナーが非血縁者、HLA不適合、高齢のドナーや、ドナーと移植を受けた患者さんの性差 など
  • 急性GVHDになりやすい方:放射線治療を受けたことがある、移植前に合併症がある など
  • 慢性GVHDになりやすい方:移植を受けた患者さんが高齢、末梢血の幹細胞を移植した など

メモ:リスクが高い患者さんは、とくにGVHDに関連する症状に気をつけてください。

[4][5]

  1. Jaglowski SM, et al. Curr Opin Hematol 2014; 21: 141-147.

  2. Nakasone H, et al. Bone Marrow Transplant 2015; 50: 559-565.

  3. Kanda J, et al. Bone Marrow Transplant 2014; 49: 228-235.

  4. Flowers ME, et al. Blood 2011; 117: 3214-3219.

  5. Nassereddine S, et al. Anticancer Res 2017; 37: 1547-1555.