GVHDに関連した症状があらわれやすいところはセルフケアも大切です
① 皮膚
移植後は、移植前処置で用いた化学療法剤や放射線照射によって、皮膚のバリア機能が障害されて、薄く乾燥し、傷ができやすくなっています。
皮膚にGVHDの症状がない場合でも、予防的なケアを継続することが必要です。
皮膚のバリア機能がもろくなっています
- 直射日光は、GVHDや皮膚がんを発症させる原因になります。
- 皮膚が薄くなっているため、汗腺の機能が低下して、熱中症になりやすくなっています。
日常生活の中で継続的にケアしましょう
- 日常的に皮膚の状態をチェックしましょう。
- ぶつけたりしないよう注意し、外的刺激から皮膚を守りましょう。
- 日焼け止めや衣類で、紫外線を防護しましょう。
- 保湿剤などで皮膚の乾燥を防ぎ、保湿しましょう。
(保湿剤は皮膚への刺激が少ない成分を選びましょう) - ステロイド剤などの塗り薬を処方されることがあります。決められた量と回数をきちんと守りましょう。
皮膚に異常がみられたら放置しないで主治医に伝え、専門的なケアについては相談してください。
② 消化器
移植後は、体力を維持し、体重減少を避けることが必要です。
消化器GVHDの症状は下痢、腹痛、吐き気、食欲不振などがあります。
消化器GVHDが起こると
● 胃が障害されると、吐き気や食欲低下が起こります。
● 腸が障害されると、水っぽい下痢が起こり、体内から水分とタンパク質が失われ、栄養不足になります。
● 慢性GVHDでは食道が狭くなり、飲み込むのが困難になることがあります。
日常生活の中で工夫してみましょう
● 必要な栄養や水分は、できる限り口からとるようにしましょう。
● 食欲がわかないときは、食べられそうなものを選び味付けの工夫をしてみましょう。
自宅で水っぽい下痢や強い吐き気、腹痛がある場合、また、体重がどんどん減ってくる場合には、早めに主治医に連絡してください。
重症の場合は入院治療が必要になります。
③ 口腔
移植後の口腔内は、免疫力が低下しており、病原体が繁殖しやすい状態になっています。
GVHDが起こると唾液腺が障害され、口腔内が乾燥するため、感染しやすくなり、広範囲にわたり口腔粘膜障害が起こる場合もあります。
どのような症状が起こるのでしょうか?
- 移植前処置の影響により、粘膜炎、出血、唾液分泌の低下、口腔乾燥、味覚異常などがみられます。
- 急性GVHDと慢性GVHDに共通した症状として、歯肉炎、口内炎、発赤、疼痛などがみられます。痛みで話せなくなったり、食事がとれなくなったり、QOL(生活の質)に大きく影響します。
口腔ケアはしっかり行いましょう
- 移植前処置が始まる前から、口腔ケアをしっかり行っておくと、口腔内が清潔に保たれ、発症を抑えたり、重症化を防ぐことにつながります。
- 必要に応じて歯科受診し、口腔清掃、歯石除去、虫歯の治療などを行っておく場合もあります。
- 症状がみられた際には、粘膜保護、痛みの緩和、保湿、口の中の傷から感染を起こさせない(二次感染の予防)などの処置が行われます。
感染症はGVHDと同様に気をつけないといけない合併症であり、予防のためのセルフケアも大切です
なぜ感染症に気をつけないといけないのでしょうか?
移植後は、非常に感染しやすい状態にあり、長期にわたって感染症にかからないように注意が必要です。
免疫細胞の数や働きが不十分で免疫力が低下
GVHD予防・治療に用いた免疫抑制剤、ステロイド剤により、さらに免疫力が低下
どのような感染症に気をつけたらよいのでしょうか?
日和見感染(免疫力低下により、健康な人には害のないような弱い病原体により起こる感染症) など
*主な日和見感染の病原体 : カンジダなどの真菌(カビ)、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、アデノウイルス など
感染症を起こさないためには?
うがいや手洗いなどをこまめに行いましょう。
主治医の指示に従い、予防薬を服用することもあります。
十分に加熱されていない食べ物は、主治医の許可が出るまでは避けるようにしましょう。
衣服や室内など清潔に保ちましょう。
それでも感染症にかかる危険性は高く、感染症が疑われた場合は病原体に応じた治療薬を投与します。
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国立がん研究センター がん情報サービスホームページ
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct03.html -
日本造血・免疫細胞療法学会ホームページ
https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=21