Q1. 治療費はどのくらいかかりますか。乳がん患者に対する特別な支援制度はありますか。
治療費は病期や治療内容によって異なります。経済的な問題はメディカル・ソーシャルワーカーに相談しましょう。
治療費は乳がんの病期(ステージ)や治療内容によって異なります。おおよその目安としては、手術(乳房温存術あるいは乳房切除術)を受けた場合、治療費は約60~70万円かかります。さらに、手術後に放射線療法や薬物療法が追加されると約30~100万円以上かかることもあります。
乳がんの患者さんに限った特別な支援制度はありません。しかし、乳がんの治療には公的医療保険が使えるため、患者さんが実際に支払う自己負担金はかかった医療費の1~3割になります。さらに、その自己負担金も「高額療養費」や「限度額適用認定証」の制度を利用すれば、自己負担限度額の範囲内で済みます。
治療費について心配なことがあれば、メディカル・ソーシャルワーカー(MSW)に相談しましょう。MSWは病院の医療相談室またはがん診療連携拠点病院の相談支援センターで活動しています。相談支援センターでは、その病院にかかっていない患者さんやご家族の相談にも電話や面談で応じています。
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医療費を軽減できる制度を知りたいのなら
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
知っておきたい医療保険制度 高額療養費(ノバルティスファーマ)
相談支援センターやMSWの所在について知りたいのなら
がん情報サービス「相談支援センターの情報」
公益社団法人日本医療社会福祉協会「会員マップ」
Q2. 手術までの間、どのように母(患者)に接すればよいでしょうか。
手術を待つ間は不安が募ります。患者さんの言葉に耳を傾けて、温かく見守りましょう。
手術を待つ間は、患者さんもご家族も不安が募ることでしょう。この期間は、患者さんにとっては、できるだけ心身の調子をよくしておくこと、入院とその後の療養に備えて、仕事や家事の大事な部分を引き継いでおくことが大切になります。また、趣味のような、手術後にしばらくできなくなることをするなど、何かに取り組むことが不安な気持ちを安らげ、手術に向かう心の準備にもなります。手術を待つ間、このような日常が過ごせるように患者さんを支えてあげることがご家族の役割になります。そして、患者さんがしてもいいこと、しないほうがいいことの情報を共有し、患者さんに必要以上の安静を強いる必要はありません。
この時期、患者さんは周囲の人たちに「普通に接してほしい」と思いつつも、自分にかまってくれないと「心配していない」と寂しく感じるなど複雑な思いを抱えています。家族も患者さんの気持ちの変化が大きいことに戸惑いますが、患者さんの言葉に耳を傾けて、温かく見守りましょう。
また、患者さんが乳がん治療の予習をしたり、医師の説明を聞いたりするのにつき合うのもいいでしょう。ご家族が図書館などで乳がんに関する本や闘病記などを探して読むのもいいかもしれません。こうしたことがご家族自身の患者さんの手術に対する心の準備や、闘病に伴う生活の変化への備えにつながります。
患者さんの精神的な不安や落ち込みが気になり、どのように対応してよいのかわからない場合、また、ご家族自身もつらさに耐えられない場合は担当医や看護師、精神的なサポートをしてくれる精神腫瘍科の医師やがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターなどに相談するのも一つの方法です。
なお、手術の前後に抗がん剤や放射線療法の予定がある場合は、これらの治療後に副作用として口内炎が起こったり、免疫力が低下して虫歯や歯周病が進行したりすることがあるため、事前に歯科でのチェックや治療を患者さんに勧めてあげてください。
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患者さんの心の動きについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんと心
「がん情報サービス」:ストレスへの心の反応
相談支援センターの所在について知りたいのなら
「がん情報サービス」:相談支援センターの情報
精神腫瘍医の所在について知りたいのなら
日本サイコオンコロジー学会「登録精神腫瘍医制度」
こころやコミュニケーションのサポートについて(ノバルティスファーマ)
こころやコミュニケーションのサポート
Q3. 乳房の再建を考えているのですが、手術と同時に受けられますか。
乳房切除手術と同時に行う「一期再建」と、後から再建手術を受ける「二期再建」の2つの方法があります。一期再建のほうが身体的・コスト的な負担は少ないといわれますが、病状によっては受けられないこともあります。
再建とは、乳がんや治療のために失われた乳房を再び形成する手術のことです。通常、おなかや背中などの自分の組織か、シリコンなどの人工物を使います。乳がんを切除する手術と同時に再建する「一期再建」と、術後しばらく経ってから再建する「二期再建」とがあります。
一期再建は手術が一度で済むこともあり、二期再建に比べて患者さんへの負担は少ないといわれています。また、公的医療保険が適用されます(人工物を使った再建手術の場合、手術や入院には保険が効きますが、シリコンなど人工物の費用は自費になります)。ただ、病状によっては切除手術の経過を見たうえで、二期再建するほうが望ましい場合もあります。また、この手術は再建手術に慣れている形成外科医が行うほうがきれいに仕上がります。再建を希望する場合は、担当医に伝え、切除手術の前に再建の方法や担当する医師について、よく相談しておくことが大切です。病状によっては受けられないこともあります。
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乳房再建について知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P15
乳がんについて知りたいなら
「がん情報サービス」:乳がん