Q1. 母の年金だけでは治療費が支払えず困っています。何か方法はありますか。
「高額療養費制度」など医療費の負担を軽減する支援制度があります。治療費で困ったことがあればご加入されている健康保険組合の担当窓口や病院のメディカル・ソーシャルワーカー(MSW)に相談しましょう。がん診療連携拠点病院に設置されている「相談支援センター」でも無料で電話相談を受け付けています。
高額療養費制度は、医療機関や薬局に支払う1か月ごとの医療費の自己負担金がある一定の限度額を超えた場合に、その超えた分の払い戻しを受けられる制度です。
所得などによって金額が異なってきますので、メディカル・ソーシャルワーカー(MSW)に相談してみると良いでしょう。
下記のリンクには制度についての説明が詳しく掲載されています。
併せて参考にしてください。
リンク
医療費を軽減できる制度を知りたいのなら
知っておきたい医療保険制度 高額療養費(ノバルティスファーマ)
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
高額療養費制度について(ノバルティスファーマ)
高額療養費制度とは?
自己負担限度額の算定方法は?
さらに負担が軽減される制度
高額療養費の支給を受けるには
自己負担額の払い戻し試算
相談支援センターやMSWの所在について知りたいのなら
がん情報サービス「相談支援センターの情報」
公益社団法人日本医療社会福祉協会「会員マップ」
Q2. 母は乳がんの治療で入院中ですが、高齢のため退院後も引き続き、介護が必要になりそうです。今からどのような準備をすればよいですか。
退院調整看護師やメディカル・ソーシャルワーカー(MSW)に相談してサポートしてもらいましょう。介護保険サービスの利用には時間がかかるので、患者さんが入院中から手続きを始めます。
現在、多くの病院では「退院調整看護師」と呼ばれる看護師やメディカル・ソーシャルワーカー(MSW)を配置し、退院に向けた支援に取り組んでいます。退院調整看護師やMSWは、担当医や病棟看護師をはじめ、在宅医、訪問看護師、ケアマネジャー(介護支援専門員)など、在宅ケアチームとも連携しながら、患者さんが自宅に戻った後も困らないように療養体制を整えてくれます。
高齢の患者さんや入退院を繰り返す患者さんなど、退院後も引き続き介護が必要になりそうなときは入院した時点から早めにかかわることが増えています。しかし、このような働きかけがない場合は、担当医または病棟看護師に相談し、退院調整看護師に取り次いでもらいましょう。退院調整看護師が配置されていないときはMSWを紹介してもらいます。
また、自宅で介護をするにあたっては、ご家族の負担を減らすためにも介護保険サービスを利用したいものです。介護保険サービスを受けるには自治体(市区町村の介護保険担当課もしくは地域包括支援センター)に申請したうえで訪問調査と審査を経て、要介護認定を受ける必要があります。
この手続きには時間がかかるので、患者さんが入院中から準備を進めましょう。もしも要介護認定の判定結果が退院に間に合わなくても、介護保険の申請をしていれば暫定ケアプランにもとづいて介護保険サービスを利用することができます。介護保険の手続きについてわからないことがあればMSWに確認しましょう。
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介護保険制度の手続きやサービスについて知りたいのなら
東京都福祉保健局「介護保険パンフレット」
Q3. 術後にがんの取り残しが見つかりました。もう一度、手術をしなければなりませんか。
再手術が行われることもありますが、放射線療法や薬物療法(抗がん剤、ホルモン剤)が選択されることもあります。担当医から十分な説明を受け、よく相談しましょう。
乳房温存手術を行う場合、取り残しがないように手術中に病理検査(術中迅速診断)が行われますが、乳がんは乳房内に多発したり、乳管を通して網の目のように拡がっていくことがみられたりしますので、手術で取りきれたかどうかの判断が難しいことがあります。そのため、術後に十分な時間をかけて、顕微鏡の下で、確認をします。術後に行われる詳細な病理検査によって取り残しが判明した場合は、もう一度、手術を行い、乳房の一部を切除したり、残した乳房をすべて切除したりすることもあります。乳房がどのくらい、どんな状態で残っているのかなどによっても、その人によって選択される治療法は異なりますので、担当医から十分な説明を受け、これからの治療法についてよく相談してください。納得がいかない場合は別の医師の意見(セカンド・オピニオン)を受けるのもよいでしょう。
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セカンド・オピニオンについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P26
乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:診断・治療方法
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん
Q4. 既往症のために予定の治療ができないといわれました。どうすればよいでしょうか。
まず既往症をよく調べてもらい、治療できない理由をきちんと理解することが大切です。既往症によっては、他の医療機関で治療できることもありますので、セカンドオピニオンを受けてみましょう。
既往症の中にはがんの治療を行うことで、全身の状態を悪くさせてしまうものもあります。まず、既往症の状態をよく調べてもらい、がんの治療からどのような影響を受けるのか、がんの治療にどんな影響を及ぼすのかをきちんと理解することが大切です。既往症によっては、他の医療機関で対応が可能なことがあります。また、既往症がある患者さんのがんの治療方針は、医師や医療機関によって異なる場合があります。他の医師や医療機関でセカンドオピニオンを受けてみるといいでしょう。その際には、がんの病状のほか、既往症の経過、検査結果などがわかるとよりよいアドバイスが受けられます。また、患者さんが既往症でかかっている(かかっていた)医師の意見も聞いてみましょう。また、もし同じ病院内に患者さんの既往症の専門医がいる場合には、担当医に相談し了解を得たら、その医師の意見を聞いてみるのも一つの方法です。
セカンドオピニオンを受けたら、その結果を担当医に伝え、もう一度、治療方針について話し合います。場合によっては、紹介状などを通じて、医師同士に直接話し合ってもらうことも必要かもしれません。
治療を進めていくことになったら、がんの治療と既往症の治療のスケジュールと内容を医師とよく相談し、調整してもらうようにしましょう。
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セカンドオピニオンについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん P26
乳がんについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:乳がん
「がん情報サービス」:各種がんシリーズの冊子・乳がん
Q5. 積極的治療が受けられなくなり、うつ状態になっているようです。家族はどうすればよいでしょうか。
ご家族だけで対応することは難しいので、心の専門家や緩和ケアチームに相談してみましょう。体の状態が楽になることで、患者さんに“生きる気力”が再びわいてきます。
積極的治療が受けられなくなっても、体調を整える、いわゆる緩和ケアで生命予後の改善を望めることがあります。強い作用がある治療を行わなくなったことで、体が楽になり、その分だけ時間を有効に使える場合もあります。しかし、積極的治療が受けられなくなったとき、患者さんの心には最初の告知や再発時よりも強い衝撃が襲ってくるといわれています。そのため、うつ状態にもなりやすくなっています。このような状況に置かれた患者さんの心を支えるには、その人の存在を安定させるサポートが大切だと考えられています。
この時期、ご家族だけで患者さんの不安定な心に対応するのは難しいので、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。まず担当医に相談し、心の専門家(精神腫瘍医または精神科医、心理療法士)や緩和ケアチームを紹介してもらいましょう。
また、前述したように積極的治療が受けられなくなっても治療が何もできなくなるわけではありません。心や体の状態が楽になることで、患者さんに“生きる気力”が再びわいてくる可能性もあります。
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がん患者さんの心の状態やケアについて知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんと心
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:家族向けの心のケアの情報
緩和ケアについて知りたいなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:がんとつき合う・緩和ケア
積極的治療が受けられなくなったときのサポート情報を知りたいのなら
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」:もしも、がんが再発したら[患者必携]本人と家族に伝えたいこと(PDF版)