日本骨髄増殖性腫瘍の日(Japan MPN Day)は、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の認知度を高め、患者さんにより多くの情報が届くことを目的とし、制定されました。アメリカで同様の記念日(MPN Awareness Day)が9月第2木曜日と定められていることから、日本でも同様に定められました。
患者さん自身でも症状を評価して伝えることの重要性
治療をしていく上で症状の評価は欠かせませんが、調査により症状の評価が正確に行われていない可能性が浮き彫りになりました。
患者さんの症状に対する理解は十分といえず、MPNでよく見られる特徴的な10症状が病気により起きていると理解している患者さんの割合は5~62%でした。残りの患者さんは、その症状が病気とは無関係と考えていました。
例えば「だるさ(倦怠感)」はMPNで最もよく見られる特徴的な症状ですが、骨髄線維症(MF)患者さんの62%、真性多血症(PV)患者さんの50%、本態性血小板血症(ET)の患者さんの56%しか、「だるさ(倦怠感)」が病気により起きていることを理解していませんでした。(図1)
一方、患者さんの症状を評価表を用いて1つ1つ確認している医師は全体の9%であり、残りの医師の診察では患者さんの症状が見過ごされてしまう可能性がありました。
そのため、より良い治療を選択するためには、患者さん自身で症状を評価し、主治医に伝えることが重要となります。
グローバルMPN LANDMARKサーベイは2016年4~10月に英国・ドイツ・イタリア・日本・カナダ・オーストラリアで実施された調査です。調査の目的は「骨髄増殖性腫瘍(MPN)が患者さんの日常生活などに、どのような影響を与えるかについて理解を深める」とされ、骨髄線維症(MF)患者さん174例、真性多血症(PV)患者さん223例、本態性血小板血症(ET)患者さん302例、MPNを診察している医師219名にオンラインでアンケート調査が実施されました。評価項目は「症状が病気により起きていると認識しているか」などとされました。
骨髄増殖性腫瘍患者・家族会(MPN-JAPAN)からのメッセージ
調査結果にもあるように、MPNは症状と病気の関連が患者さんにとってイメージしにくく、加齢によるものと思い込みがちなため症状があっても先生に伝えていないことが少なくありません。
しかし、受診のときに主治医の先生が必ずしも具体的に聞いてくださるわけではないので、自分が困っているということを伝えて初めて、解決につながります。
気になる症状があれば、病気との関連性をご自身で判断せず主治医の先生に相談してみましょう!
MPNは普段なかなか同じ病気を抱える患者さんに出会う機会の少ない希少疾患ですが、患者会では同じ病気に悩んだ・悩んでいる経験を持つ患者さんと出会えます。
普段の生活や治療に関する情報交換の場もありますし、MPNに詳しいご専門の先生をお招きした勉強会も定期的に開催しています。
一人で悩まずに、まずは同じ病気を抱える先輩患者さんに話を聞いてみてください。
骨髄増殖性腫瘍患者・家族会(MPN-JAPAN) 代表
瀧 香織
骨髄増殖性腫瘍 症状評価フォーム
症状を正確に評価するためには、主治医から患者さんへ具体的な症状の確認だけではなく、患者さん自身も、ご自身の症状を確認し主治医に伝えることが大切です。「骨髄増殖性腫瘍 症状評価フォーム」を活用して、主治医にご自身の症状を伝えてみましょう。
症状チェックシート
もう少し記入が簡単な、「症状チェックシート」というツールもございます。具体例が載っていたり、評価も3段階になります。
ご活用ください。
各骨髄増殖性腫瘍※の専門医による詳しい解説は下記よりご覧ください。
※骨髄増殖性腫瘍は、骨髄系細胞の著しい増殖を伴い、造血幹細胞レベルでの腫瘍化によって発症する疾患の総称です。